鞭打ち症というと『交通事故』というイメージがありますが、実はバスケットボールやフットボールなどのコンタクトスポーツをはじめ、仕事上のアクシデントなどでも起こりうるほど身近なものです。以前は、鞭打ち症のような軟部組織の損傷を分析することは難しかったのですが、最近ではMRIやCT、そしてX線などの技術進歩に伴い、かなり細かい分析が可能になってきました。そのおかげで、いままで妄信的に行われてきた多くの治療法の中で、実際に何が有効なのかを科学的に検証する研究も進められています。そんな中、鞭打ち症の治療法として最も注目されているのが、カイロプラクティック医による脊椎(首・背中・腰の骨)矯正です。今回は鞭打ち症の性質と、治療におけるカイロプラクティックの有効性についてお話ししましょう。
まずは、カナダのケベック州にあるケベック自動車保険協会が行った調査結果を紹介します。同協会は、ケベック州で鞭打ち症の保険請求が大幅に増加したことをうけ、1989年に特別調査委員会を発足し調査に乗り出しました。同委員会は、10,382にも及ぶ鞭打ち症治療について記された研究資料を徹底的に分析し、唯一カイロプラクティック医による脊椎矯正についてのみ、その有効性を認め、鞭打ち症治療に推薦しています。彼らがまとめた報告によると、痛み止めや抗炎症剤を単独的に投与したり、マッサージのみを施しただけの処置法に比べ、カイロプラクティック治療が鎮痛薬や、非ステロイド性の抗炎症剤と併合して施された場合のみが効果的な治療法として推薦できるレベルにあるそうです。
この結論は鞭打ち症の性質を考えると納得がいきます。鞭打ち症は、交通事故時などによって起こってしまった筋肉の裂傷や、靭帯損傷が引き起こした関節への負担などが原因です。事故が発生した時、我々の体は首の周りの筋肉を緊張させ、なんとか頭を支えようとするため、それが痛みにつながります。肩や腰の痛みも同様で、椎間板や脊椎部分を支えようとして筋肉が張り詰めてしまう事が原因です。つまり、こういった緊張をほぐしてやる為には痛み止めや抗炎症剤などの単独投与は、長期的な解決法にならないのです。
また、鞭打ち症の深刻さにいろいろな要素が関係します。例えば、年配の人は若い人に比べると柔軟性が失われていることが多く、動かせる関節部の範囲も狭めです。そのため、筋肉自体の強靭さも衰えており、同じような事故に遭っても若い人よりも深刻な怪我になりがちです。また、性別によっても違いがあり、統計的にみると女性は男性に比べて怪我の度合いがひどくなってしまう傾向にあります。そして、当然ながら、既に同じような怪我をした事がある人は、初めての人よりも深刻な症状になりがちです。また、鞭打ち症には頭痛との相互関係があり、鞭打ち症患者の実に66から70パーセントが頭痛を訴えます。首の痛み同様、これも頭を安定させておく為に萎縮した筋肉がピンっと張り詰めている事が原因なのですが、こういった頭痛は、目の裏側で感じる事が多いのが特徴です。
このような性質を持つ鞭打ち症ですが、中でも一番大きな問題は、症状が発現するまでに時間がかかることです。そのため、多くの人々は症状が悪化するまで診療を受けません。事故に遭った人の62%から98%は、事故後2時間、中には長くて2~3日後に首の痛みを訴え始め治療を受けますが、そのうちの45%の患者が2年経った後でも同じ症状に悩まされているのです。
したがって、鞭打ち症の治療を行うには、こうした鞭打ち症の性質を充分理解した上で、有効的な処置を迅速に施す必要があるのです。ですから、もしも貴方が鞭打ち症にお悩みなのでしたら、一日も早く鞭打ち症のエキスパートであるカイロプラクティック医にご相談ください。